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赤ちゃんの体重増加を考える:30g神話はもうやめよう!

赤ちゃんの事で一番心配になることは、何といっても、「体重が増えているか」ということですよね。

体重は数字として目に見えるので、確実な指標になりますね。

また、足りていなかったら、母乳不足、赤ちゃんの今後の発達に影響する、などと言われて心配になることが多いと思います。

実は、体重増加と脳の発達について、体重増加がゆっくりでも影響することはないといわれています。

日本小児科学会でも、そのことが明記されています。

小児科医からの健診で「体重の増え方が悪いと将来頭が悪くなるよ、粉ミルクを足しなさい」と指導されたという母親は少なくない。健康な正期産児を対象にした検討では、体重増加と認知能力には関係ないことが示されている。つまりSlow weight gain(ゆっくり体重が増える赤ちゃん)なのかFTT(体重増加不良)なのかを判断することが必要であり、小児科医の真髄が問われることである。~日本小児科学会雑誌.115;1363.2011~

体重はどのぐらい増えていたらいいの?

それでは、体重はどのぐらい増えていたらいいんでしょうか?

良く、健診では1日に換算した時に、1日30gずつ増えていることが必要、と言われますよね。

この30gという数字。体重が少しずつ増える赤ちゃんと、たくさん増える赤ちゃんの「平均」の数字であって。

この数字に医学的根拠はどこにもなく、何となく1か月1キロを30日で割っただけなんです。

だから、赤ちゃんによって10g台や、50~60g台と幅広いのものです。

気を付けたいのは、30という数字が、「平均」であって「最低」ではないということ。

なので、必ず30gずつ増えなければ足りていない!ではないのですよね^^

生まれてから1か月までの体重増加

特に、生まれてから1か月の間。

生まれてから、まず赤ちゃんは体重が減ります。これを「生理的体重減少」というのですが、この体重減少。

生後1週間頃まで減ってから増加してくるタイプの赤ちゃんと、

生後2週間頃までゆっくり減り続けて、その後から増加してくるタイプの赤ちゃんもいます。

良く、2週間健診で体重が増えてないから、ミルクを足すように言われて足した、というご相談が多くあるのですが、

その間、おしっこやウンチも出ていて、赤ちゃんも活気良くて。という場合だと、ゆっくり減って後から増加してくるタイプなのかな、ということが分かります。

WHO/UNICEFから出されている「母乳育児支援ガイド」でも、

1か月健診時には最低体重から500g増えているのが望ましい

と記されています。

もし、生後2週間頃からゆっくりと体重が増えた場合。

1か月健診では、出生体重から200g程度の増加でも良い、ともいわれています。

それだけ、それぞれ違う形で増えていくんですね。

他にも本当に良く聞かれるのが、

出生時の体重から数えられていて、1日30gずつに届いてないので足りてないといわれたというもの。

生理的体重減少は?という感じですね^^;

こうしてみると、1か月に1キロ増えなければならない、というのも、結構無理な印象になりますよね。

もちろん、最初から母乳が沢山出ていて、赤ちゃんも哺乳力があり、最初の方から、めきめきと体重が増える赤ちゃんもいます。

それはそれで、乳児早期の時期は、赤ちゃんは脂肪の合成が盛んな時期なので、肥満になるわけではなく、母乳の回数はあえて減らさなくても、大丈夫です。

もし、体重減少がなく退院した場合も。

出産後、入院中に夜間は赤ちゃんを預かってもらっていたという場合。

夜間、ミルクを良くのんでいるので、体重が増加して帰る場合もありますよね。

そこから、母乳をメインにあげていたら、母乳分泌がミルクほど追いついてない時期の事が多いので、体重は減っていきます。

なので、この時期の体重増加は、1日30g増えなければならない訳ではないんです^^

1か月以降の体重増加

1か月以降については、毎日増え続けていくというのではなく、1日に換算することは本当になくなりますが、1日に換算したとして、おおよそ20g/日ぐらいの体重増加があれば良いといわれています。

また、3か月を過ぎた頃には、体重増加がほとんど増えない赤ちゃんもいます。

身長も伸びないので、色々足りていない、といわれてしまうのですが、血液検査などしても、検査では全然問題ないことが多く、笑う、動きの発達なども正常であることが特徴です。

4ヶ月ぐらいまでぐーんと順調に伸びている赤ちゃんも、その後急に緩やか、ほぼ横ばいにの体重増加になる赤ちゃんもいます。

5か月頃から身体の動き(寝返りなど)も活発になってきて、そんなに増えていかない形です。

良くあるのが、4ヶ月健診後の7か月相談の時に体重が増えてないといわれて、、と相談に来られることがあるのですが、母乳は良く出ているけど、寝返りやずり這いで良く動いていたりするだけだったのも確認できます^^

実際のゆるやかな増加の赤ちゃん

助産院に来てくれた赤ちゃんも、本当に体重増加は様々で。

4ヶ月頃からフォローさせていただいている赤ちゃんも、こんな感じで体重が増えていました。(ママさんに許可を得て、記録をアップしています)

男の子の赤ちゃんですが、出生体重は3200g台で、4ヶ月頃から緩やかになってきました。

なるべく母乳をメインにあげたいという気持ちがあり、ミルクも使用していましたが、ほぼ母乳メインで経過していました。

発育曲線からは下回るのですが、良く笑って、ご機嫌で、動きも活発。

皮膚のツヤも良くて、おしっこも1日ずっしりと6回以上、ウンチも1日1回は出ている状況。

そして、食事にとっても興味がある様子だったというので、5か月すぐには離乳食が開始。

離乳食を開始したら、とっても良く食べる!

どんどん食も進み、大体の量といわれている量の2倍は食べるという感じでした^^

離乳食が進んでから、体重も増加してきて、この画像ではまだ未記録ですが、先日お会いした時、9か月10日で7キロに入り、発育曲線に乗っかってきた状況です。

お座りやつかまり立ちもあって、発達には問題ない様子。

小児科さんからもこまめなフォローがあったので、頻繁に体重測定されていましたが、ゆっくり増えていくタイプだったのだと思います。

これはほんの一例で、他にも、ゆっくり増えていった赤ちゃんはたくさんいます^^

身長・頭位も併せてみていく

このような形で、赤ちゃんの成長は一概に体重だけでなく、色々な側面から判断していきます。

身長や体重は発育曲線から外れていても、頭位は意外と曲線内に入っている場合もあります。

成長発育曲線の見方

今の母子手帳に書かれている成長発育曲線は、2010年に調査されたもの。

調査の年に調査した、それぞれの月齢の子どもの値をパーセンタイル値で帯にしたものです。

パーセンタイルというのは、小さい方から数えて何%目にあたるか、を意味するもの。

なので、一番下の10パーセンタイルは、一番小さい値から10番目に位置する、というものです。

なので、帯よりも下回る、上回る子はいたという事です。

そう思うと、ど真ん中を辿らなければならない、ということではなくなりますよね^^

その子なりの体重増加を見守ることが大切

体重増加だけでなく、それ以外の、皮膚の状態、おしっこやウンチの状態、発達の状態、、母乳の状況など。

総合的にみて、その子なりの体重増加を見守ることが大切です^^

とっても長くなってしまいましたが!

こちらから見ると順調に見えるのに、ちょっと緩やかだったり曲線より外れると、

「これは栄養が足りていない」

などと言われて心配になり、母乳の回数が減ってしまうことがあります。

そうすると、本当は母乳をあげたくても、回数が減っていくと、量も減っていってしまう。

なので、体重増加を指摘されて心配になった時は、ぜひ、ご相談くださいね^^

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